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鴨猟師による「小郡の鴨」についての講習会

令和5年11月27日(月)13時~小郡市埋蔵文化財調査センターにて、現役の鴨猟師である天本美博あまもとよしひろ氏を講師にお迎えし、無双網むそうあみ猟や小郡の鴨の歴史についての講習会を行いました。受講したのは、CLUB REDのメンバーで、RED U-35のコンペティションで優秀な成績をおさめた若手料理人の皆さまです。

伝統的な無双網むそうあみを使った猟を行うのは、天本さんを含めて現在2名。住宅街の直ぐ近くにある猟場で、毎日決まった時間に2週間ほどかけて青米で餌付けをして鴨を太らせます。何度も足を運んで鴨が集まってくるタイミングを見計らう、何とも根気のいる猟です。鴨はとても警戒心が強く、網を引くタイミングは1秒かからずに行わないと逃げられてしまうのだそうです。鴨が網場に群がった頃合いを見て、隠れた場所から一斉に仕掛けを引くと、「てこの原理」で網がかぶさって鴨を捕獲することができます。生け捕りにしたあと、素早くしめることで、血液などが肉質や風味に与える影響を低減させることができ、網での捕獲なので傷も最小限になるのだそうです。

「小郡の鴨」は臭みがなくまろやかなコクがあると言われる理由は、青米を食べていることと、鉄砲ではなく網で捕獲されているからです。海が近いと、鴨が魚を食べて臭みのある鴨が多いのだそうです。臭みのない小郡の陸鴨は大変貴重なことが理解できます。いつも天本さんが使っている無双網むそうあみも見せていただきました。この無双網は綿で編み、柿渋で染めていたそうです。幅約2.5メートル、長さ約14メートルの横長の大きな網です。

マガモは、全長50~60㎝くらいの大きさで、今では高級食材ですが、昔は庶民の冬場のご馳走として鴨料理が、御狩場焼おかりばやきで食されたり、甘いタレに付けて焼いて食されていたのだそうです。1月~2月の鴨がおすすめで、鴨は脂がうまいこと、骨はスープの出汁にすると美味しく、臭い鴨は泡盛を入れると臭みが取れるということ。鴨を知り尽くした天本さんが教えてくださいました。